ハードボイルドエレベーター物語2016-01-13 Wed 18:04 俺は慌てることなく、1階からゆっくりとエレベーターに乗った そして目的の場所の8階のボタンをそっと押し、 エレベーターの 閉 ボタンに右手の中指でそっと触れた すると、80歳を少しすぎただろうお爺さんが 駆け足でエレベーターに向かってくるのが見えた 俺は 閉 ボタンから中指を離し、急いで 開 ボタンを親指で押した エレベータのドアが軽くガクンとなって閉まりかけたドアが開き始めた 白髪頭で色白な好好爺を絵に描いたようなお爺さんは 優しく上品な山形弁で 「いやぁ いがったぁ~ 間に合った~~」 微笑んでいた が、次の瞬間 「あ! 上さ行ぐのがぁ~?」 地下に行きたかったお爺さんが若干あわてているのがわかった ![]() 2階から3階に登っているエレベーターのなかで 「どれ 3階で降りっかぁ~」 お爺さんが3階のボタンを押した次の瞬間 エレベーターは無常に3階を通り過ぎてしまい4階が点滅した 「ないだぁ ダメがぁ んだら4階がぁ」 お爺さんは4階のボタンを押した すると次の瞬間エレベーターは無常に4階から5階に移動していた お爺さんは 「ないだ、ないだ、ないだぁ? ん~ ししょないなぁ(しょうがない)」 さらに6階のボタンを押そうとした お爺さんを見ていた俺は囁くようにつぶやいた 「お父さん 8階まで行ぐべはぁ!」 しかし、 お爺さんの指はすでに6階を押してしまっていた 結局、急いで地下に行きたかったお爺さんは 8階まで一緒に行ってから別れた 将来の自分の姿を見た気がした 俺 だった・・・・ スポンサーサイト
山形 天童 | ![]() |
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